NHK放送中の『オクニョ』を作った巨匠イ・ビョンフン監督、その独特すぎる“制作スタイル”とは

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彼は、困難な境遇のなかで育った主人公が、様々な努力の末に自分の道を切り開いていくというサクセスストーリーが大好きだ。

『宮廷女官チャングムの誓い』もそうだし、『トンイ』や『イ・サン』もそうである。

また、クライマックスではハッピーな展開を好む傾向があり、長いドラマでも最後まで安心して見ることができる。たとえば、『イ・サン』について見てみよう。

このドラマの主人公である正祖は、多くの韓国人が「毒殺されたのではないか」という印象を持っている。正祖毒殺説はあまりに有名なのだ。

(写真提供=SPORTS KOREA)ドラマ『イ・サン』
しかし、『イ・サン』ではクライマックスまで見ても、毒殺はまったく出てこなかった。いかにも、正祖は大きなことをやり遂げたうえで世を去った、という展開だった。

イ・ビョンフン監督は、毒殺説を採用することによって悲劇的な結末になることを避けたのである。

これが端的な例であり、常に希望が持てる形でドラマを終わらせるのが、イ・ビョンフン監督の一番大きな信条になっている。

新人女優を大胆に抜擢

キャスティングに関していうと、若くて経験の浅い女優でも大胆に抜擢する傾向がある。『トンイ』のハン・ヒョジュ、『オクニョ 運命の女(ひと)』のチン・セヨンもそうである。

(写真提供=SPORTS KOREA)『トンイ』のハン・ヒョジュ(右)とイ・ビョンフン監督
イ・ビョンフン監督ほどの巨匠になると、視聴者の期待も大きく、それだけ主人公となる女優の比重も高くなる。となると、演技に不安が残る新人を使いたがらないと思われるのだが、イ・ビョンフン監督はそういう安全策を取らず、大胆に新人女優を起用して成功に導いている。

もちろん、新人ならば演技の面で不足しているのは間違いないのだが、イ・ビョンフン監督の優れた演出によって女優も見事な成長力を見せる。結果的に、生き生きとしたドラマに仕上がっていく。

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このように、キャスティングが大胆なのもイ・ビョンフン監督の信条である。

道化の脇役が面白い

さらにイ・ビョンフン監督が巧みなのは、道化となる脇役をたくさん配して、ドラマを面白くすることだ。