韓国スポーツと兵役⑤別名・尚武(サンム)と呼ばれる国軍体育部隊とは何か

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【前回】韓国アスリートたちが五輪やアジア大会に執念を燃やすワケ

国軍体育部隊。日本ではあまり聞きなれない言葉だが、たとえその言葉を知らなくても、サッカー日韓戦などの国際Aマッチ前の国歌吹奏時に一部の韓国人選手が直立不動で敬礼する姿を見たことがあるはずだ。

一瞬、違和感を覚えるその姿は、彼らが尚武所属選手であることを意味している。

国軍体育部隊は正式名称で、尚武とは「進取的気性、覇気、攻勢気質を高く持ち、知、仁、勇の三大精神を重んじる集団」として付けられたニックネームである。

(写真提供=SPORTS KOREA)
(写真提供=SPORTS KOREA)
この尚武が設立されたのが、1984年1月。4年後にソウル五輪を控えていた韓国政府は、それまで陸、海、空の3つの軍に存在した体育部隊をひとつに統括し、国家予算で運営していくことを決めた。

つまり、国家ぐるみでスポーツ強化に取り組んだわけだが、その設立目的はソウル五輪のためだけではなかった。韓国国軍体育部隊の政訓広報室関係者は次のように語る。

「まず、忘れてはならないことは、たとえ有能なスポーツ選手だとしても、兵役が国民の義務として定義づけられている以上、軍隊は免れないのです。尚武はそうした兵役対象にある優秀な人材を確保し、そのスポーツに専念させる場所。

ここで継続的にトレーニングを続け、技量を伸ばせることができれば、個人やその種目のためにもなるだろうし、我々、軍の士気高揚はもちろん、広くいえば国家のためにもなる。なんだか回りくどい言い方になってしまいましてね。つまり、こういうことです。

尚武は兵役対象年齢となった有能なスポーツ選手たちの受け皿となり、鍛練の場となっているのです」

兵役義務がある有能なスポーツ選手たちの受け皿となり、鍛練の場でもある尚武。実際、2013年まで尚武の本拠地があった城南市の駐屯地には充実の施設が整っていた。